1979年4月から1982年9月まの3年半、トロント駐在員として家族帯同で赴任した。我々はカナダと米国は人種も文化も同じで仲良し同士と思いがちだが、小国が隣の大国に屈折した感情を抱くが通例で、カナダと米国も例外ではない。そこをしっかり理解しないとカナダ駐在員が務まらない。
記事 | 掲載 | 内容 |
駐在員回顧譚 東部篇 | 2014/2/1 | 米国との確執、「市場開拓」逸話、赤毛のアンの島 |
〃 ケベック・オタワ篇 | 2014/3/1 | フランス語圏の扱いに苦悩するカナダ |
〃 オンタリオ・マニトバ篇 | 2014/4/1 | 英語教育、トロントの暮し、ビジネス秘話 |
〃 西部編 | 2014/5/1 | 厳冬のドライブ、豊かな資源、戦争の傷跡など |
メキシコは米国と長い境を接するが、全く異なる歴史・文化を持ち、経済的に米国と比較にならないほど貧しい。メキシコ人は国境をかいくぐって米国で不法就労し、米国もメキシコ人の不法就労者なしでは農場や3K職場が成り立たない。米国はメキシコの低賃金を合法的に使う目的で国境沿いに工場を作り、日本企業も米国向けの製品をメキシコの免税工場で製造した。当社にもそんな事業場があり、小生もしばしばメキシコに出張した。稀に週末をはさむ出張もあって、そんな時は同僚をわずらわせて観光に出かけたりもした。
仮掲載 | 2008/3/30 | アステカの遺跡、メキシコの京都・グアダラハラなど |
「アメリカ50州雑記帳」について (2013/6/1 記)
この特集は米国駐在中の1994年9月に作って同僚や友人に配った冊子「アメリカ50州雑記帳」をベースに、写真と記事を書き加えてウェブ用に再編成したものである。内容は当時(1966~1994)の現地事情であることをご承知いただきたい。原本では州名のアルファベット順に並べたが、当ウェブ版では思いつきで並べ替えた。新記事の無い時に順次ご紹介してゆくことにする。
以下は原本の「まえがき」である(一部修正)。
米国では、自分が進みたい職業を決めて学校と専攻を選ぶが、日本では模擬試験の偏差値で進学校が決まり、社会人になっても会社の都合で仕事の中身が決まる。私の場合、数学が苦手だったばかりに「英米学」を専攻することになったが、学生時代は語学に背を向け、経済政策ゼミで「労働市場形成過程から見た日本産業の二重構造」を卒論にするという天邪鬼ぶりで、論文のあらましを英文三枚にまとめる課題が手に余リ、友人に酒をおごって翻訳代筆してもらった。
昭和39年(1964)に通信機メーカーに就職し、英語にまつわる失敗談にこと欠かないが、勤続30年を節目に数えてみたら、駐在・出張期間を合算すると会社生活の約半分、後半の15年間は8割をアメリカ、カナダで無線機を売る仕事をしていた。結果的に少年時代の夢だった「無線技師」と名目的な「英米学」専攻が仕事で繋がった、と言えないこともない。
1990年に2度目の米国駐在に出る際、それまでに行った州を数えてみたら38あった。全50州踏破を思い立ったが、残りの12州はビジネスの機会がなさそうなところばかりで、週末や連休を使って旅行することにした。米国では交通費や宿泊代が日本に比べて安く、若者の貧乏旅行のような旅も楽しんだ。航空会社には利用に応じて個人に無料券を出す制度があり、それも活用した。1966年12月に西端のハワイ州から始まった私のアメリカ50州訪問は、28年目の1994年9月に、東端のメイン州で完結した。この機会に私の見た50州について何か書き残したいという気持が起こり、現地勤務(ダラス)の余暇にワープロでたたき出したのが、この冊子である。
50州を踏破したと言っても、ビジネス出張は飛び帰りばかりで、個人旅行も似たようなものだから、「垣間見た」というのが妥当だろう。空港の乗継ぎやフリーウェイ通過はノーカウントだが、「何かすればよい」というルールにした。ハンパーガーをかじっただけの州は訪問記の書きようもないが、その州にまつわることを「何か」書いてお茶を濁すことにした。思い付くまま書きなぐったので、読み返してみると内容の重複や矛盾も気になる。だが米国自体、ある部分を見れば無敵で前途洋々だが、別の部分を見ると、明日にも崩壊するのではないか、と本気で心配になるような多面性を特徴とする国だから、それについて素人が書いたものが、矛盾だらけなのは当然、と開き直ることにした。
そういう言いわけが通じそうな方々に勝手にコピーを配り、自分のサラリーマン生活30年と、アメリカ50州踏破の記念にしてしまおうというのが、私の身勝手な目論見である。そういう自己満足用の駄文ゆえ、あえてご批判をあおぐようなものではないが、もし一部分でも読んでいただき、違った視点をご教授いただければ身に余る光栄である。
(この項 1994年9月記)
地域 | 掲載日 | 内容 |
南カリフォルニア | 2014/6/1 | 1960年代のロスアンゼルス、ジョシュアツリー国立公園、デスバレーなど |
中央カリフォルニア | 2014/7/1 | ベイ・エリア、シスコ市内、ヨセミテ国立公園、レイク・タホスキー場など |
ネバダ・アリゾナ | 2014/8/1 | ラスベガス、グランドキャニオントレイルを歩く、モニュメントバレーなど |
ユタ | 2014/11/1 | 合衆国の国名について、モルモン教徒の開拓、スキー旅行記、ザイオン国立公園、ブライスキャニオン国立公園など |
ニューメキシコ・ コロラド |
2015/1/1 | 州境の特徴について、サンタフェ、ホワイトサンズ、カールスバッド、アスペン・ヴェイル・アラパホベイズンスキー場、コロラド鉄道博物館など |
アラスカ | 2015/2/1 | 半生記前のアラスカ、酷寒のバロー岬、チェーナ温泉とオーロラ |
ワシントン・オレゴン | 2015/3/1 | 日本に最も近い地域の自然と産業、富士山・摩周湖・九十九里浜的景観 |
アイダホ・モンタナ | 2015/6/1 | 国境の平和公園、辺境の地で日米関係を考える |
ワイオミング | 2015/11/1 | 米国「国立」考、イエローストーン国立公園、デヴィルズタワー |
ノースダコタ・サウスダコタ・ネブラスカ | 2015/12/1 | 歴代大統領の名を冠する公共建造物論考、北辺の荒地、ラッシュモア山、インデイアンの亡霊、戦略空軍基地見学など |
ミネソタ、ウィスコンシン、アイオア | 2016/2/1 | 吹雪に負けてはいられない駐在員、ミシシッピ川の春の洪水など |
メイン、ニューハンプシャー | 2016/3/1 | 不人気大統領の系譜、米国東端の町、日露戦争講話会議が行われた町など |
マサチュセッツ、バーモント | 2016/4/1 | 大統領予備選にみる米国底流の変化、電話とテレビのない休暇、人民急行とメープルシロップ |
サウスカロライナ、ジョージア、フロリダ | 2016/6/1 | 南部とは何か、南北戦争とは何か、策士リンカーンの戦略、グラント将軍と明治天皇、規制緩和のなせるわざ、初期のスペースシャトル打上げの実況中継など |
首都DC、バージニア | 2016/12/1 | 大統領選のショック、米国の分断とは、首都と周辺の素顔、首都圏の暮らし |
ニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルバニア、オハイオ |
2017/10/1 | ニューヨークと周辺3州で体験した白人間の民族問題、米国商売打ち明け話、豊かな人生と荒廃の同居、戦争と平和の同居など |
テキサス、アーカンソー、オクラホマ | 2017/12/1 | 思いがけないダラス、JFK暗殺の謎、航空機ショー、深南部の人種問題、石油ヤマ師のビジネス感覚など |
その他の17州 | 2022/2/1 | 仕事がらみの話題で掲載をはばかった州、写真のない州の記事をまとめて掲載 |