当ホームページは毎月更新を原則にしている。4月20日~5月5日(2018年)ヒマラヤトレッキングに出かけ、そのため先月は早目に更新したが、帰国後に種々所用が生じた上にパソコン頓死もあって更新作業が手につかず、この際2007年にアップした22年前の最初のNZ旅行記も焼き直し、お茶を濁させていただくことにする。
手元の国語辞典で「冬」をひくと、「寒い季節。草木が枯れて雪が降る。12、1、2の三ヶ月」とある。英本国で出版された辞書の「Winter」では、ほぼ同じ記述に加えて「北半球では..」と注釈がついている。なるほど、地球の隅々まで国民を送り込んだ国は辞書作りにも気が回るものだな、とつまらない感心をする。
「南半球では7、8月が真冬」と言われても、実感が湧かない。20年以上前のことになるが、夏休みにニュージーランドにスキーに出かけた。出発前に汗だくでスキー道具や防寒具の荷造りをするのは妙な気分だったが、クライストチャーチに着いたら、理屈どおりにしっかり「冬」だった。
クライストチャーチ周辺図 クイーンズタウン周辺図
成田からの直行便は翌朝クライストチャーチに着く。市中心部のホテルに荷物を置いて周辺を散歩し、午後は観光バスで郊外の港町リトルトンを訪れる。
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スキー初日はクライストチャーチから西へバスで1時間のマウントハット。我々のツアーは6名で、移動は専用バスではなく乗り合いスキーバスに乗る。
緯度が高いニュージーランド南島の南部では、海抜1千mで森林限を超える。スキー場は森林限界より高いところに作られているので、樹木を切り倒してゲレンデを造成する必要がない。のっぺらぼうな斜面を好きなように滑るのは、林間コースに慣れた我々にはちょっと面白い経験である。開放感あふれるスロープからの眺望もすばらしい。ニュ-ジーランドの「夏スキー」は、耐え難い日本の夏から脱出する絶好のプランの一つと言えるだろう。
南半球までわざわざ滑りに行く我々を「上級」スキーヤーと誤解するかもしれないが、実力はつれあい共々「初級に毛の生えた」程度。日本や米国の中級以下のゲレンデは、圧雪車で整備されているので何とかなるが、NZのゲレンデはデコボコに踏み固められ、非力な初級シニアスキーヤーではコントロールが効かない。もっとも、この時は使い古した長尺スキーを持参したのだが、近年スキーの板は全く別物に進化した。最新のカービングスキーを履けばシロウトでも苦も無く曲がれるので、NZのスキー場にも別の感想を持つかもしれない。
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マウントハットは1日だけで、翌日は国内線でクイーンズタウンに移動。中型プロペラ機に乗客は20人程で、離陸してしばらくすると、希望者にコクピットを見せてくれるという。世界一治安が良いと言われるさすがのニュージーランドでも、今は飛行中のコクピット見学はNGだろうが。
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クイーンズタウン周辺にスキー場がいくつもあるらしいが、コロネットピークとリマーカブルが有名。それを1日づつ滑ったのだが、天候が崩れてあまり楽しいスキーにならなかった。最終日のリマーカブルは吹雪になり、不得意な深い新雪に手こずって殆ど滑れず、午後の帰りのバスを待つだけになってしまった。
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クイーンズタウンは、季節を問わない人気観光地だが、地理的に欧米から遠く、且つ大型機の発着ができないので、大規模な開発は困難である。こじんまりとこぎれに商売ができればそれで良い、というコンセプトが貫かれていて、それがニュージーランドという国の快さの基になっているような気がする。
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2日間のクイーンズタウン滞在を終えて北島のオークランドに移動。
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北島の北端に近いオークランドは人口125万を擁するNZ最大の都市だが、首都は北島南部のウェリントンである。ちなみに地名のオークランドは当時のインド総督だったオークランド伯爵に由来するのは、前号で触れた地名考と同じ事情である。
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時間があれば鉄道の駅を見るのを習慣にしている。オークランド駅は市の中心から少し離れた港に近い場所にあり、欧米の駅と同様、ホームに自由に入って写真を撮ることができる。列車の本数は少ないようで、ローカル用の短い編成の気動車と、北島を縦断する特急列車が止まっているだけだった。
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