オーストラリア的進化              2007/02/10

2億3千万年前、巨大大陸、パンゲア(Pangae)は分裂・漂流を始めた。オーストラリア大陸は南極大陸と共に早い時期に分裂し、他の大陸から隔絶されたため、その上の生き物たちは、独自の進化をとげることになった。カンガルーやコアラなどの有袋類をはじめ、珍奇な動植物がオーストラリアに多いのは、億年単位の地球の営みの結果である。

5万年前、氷河期で海が浅くなった時に、人類がオーストラリア大陸に渡った。その後間氷期で海水面が上昇したため、人類の往来が途絶え、オーストラリア大陸の原住民となったアボリジニの独特の文化は、18世紀末に英国が地球の裏側のこの大陸に大規模な植民を始めるまで変わらずに続いた。産業革命後の工業力と銃器を持った殖民者は、わずか30年で広大な大陸を乗っ取っり、白人の国を作り上げた。現在の人口2千万人の内、白人が92%、アジア人が7%で、原住民アボリジニは1%にも満たない。

第二次大戦後、オーストラリアは、自国の経済発展のために白豪主義の看板を下ろした。日本企業が競って進出し、小生の同僚にもオーストラリア駐在の経験者が多い。駐在員は概して派遣国で苦い経験を持ち、それがトラウマとなって悪感情を引きずる者が少なくないが、オーストラリア経験者に限って、この国の悪口を言う人を知らない。日本企業が優遇された時期だったし、広大で豊かな国に住めば、国民の気風もおおらかになるだろう。あるいは、オーストラリア人には、自国の発展のために日本企業を利用しているのだ、という本音から、うまく乗せて働かせる手腕もあったのかもしれない。

その結果、オーストラリアは、本国のような老衰化を免れているが、長い歴史から見れば、白豪主義から多民族国家への転進は、まだ始まったばかりである。日本、韓国に続いて中国の進出が著しいが、オーストラリアがこれからどのような舵取りをするのか、「お金の国際化」ばかりが先行している日本にも、参考になりそうな気もする。

@ABC小生がオーストラリアで見た奇妙な植物たち。 D血のような樹液を出す木。 EFウォンバット、タスマニアンデヴィルも有袋類。 Gブルーマウンテインの三姉妹岩。この辺の地層は非常に古いものらしい。 Hブルーマウンティンの滝 I観光アボリジニ。イギリスの大学に留学中と称し、ロンドン訛りの英語をしゃべっていたが、真偽の程は不明

JKシドニー動物園から見た市街地 LKダーリングハーバーの桟橋と市街地 Mシドニータワー  Nタワーからセントメリー大聖堂を見下ろす O同様にタワーから見下ろした戦争博物碑 Pハイドパークの街路樹 Qボンダイビーチ R郊外電車(地下鉄乗り入れ)は殆どが二階建て S時間つぶしに乗った郊外電車(これも地下鉄に乗り入れの旧型二階建て車)。


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