今シーズンの百名山完登を期しているが、残る峰はどれも3千m級。気になるのは、ここ2年、シーズン初めの登山で、2千mに届かない山で高度障害の症状が出たことである。年齢相応かもしれぬが、70歳を過ぎて7千m峰を登る人もいるのに我ながら不甲斐ない。そこで5月末、シーズン前の高所訓練に(?)残雪の立山室堂に出かけた。

立山黒部アルペンルーは4月17日に開通、標高2400mの室堂までバスとケーブルで入ることが出来る。室堂ターミナルは、バスがひっきりなしに出入りして大賑わい。中国語や韓国語も飛び交って、百年に一度の大不況など忘れてしまう。

だがその賑わいもターミナル周辺だけで、その先は数メートルの積雪が軽装の観光客の侵入を阻む。我々も多少の身支度はしているものの、定められた遊歩道を踏み外すことはない。5月の雪山はまだ冬将軍がとり仕切る世界で、無防備なシロウトには、思わぬ遭難の陥し穴が待っていると考えた方がよい。

そんなわけで、高所訓練と言っても無難な場所で平凡な写真を撮っただけ。山の写真の定番は早朝と日没時の「赤焼け」だが、立山は思うように焼けてくれなかった。気象条件のせいだろうと思っていたが、山岳写真のプロによれば、最近はダメな日がめっきり増えたという。これも人間様の環境破壊と関係があるのだろうか。(残雪上の褐色の模様は、中国大陸から飛来した黄砂)

①大観峰から黒部湖 ②朝の大日岳 ③霊峰・雄山 ④室堂山 ⑤浄土山(左) ⑥地獄谷 ⑦みくりが池 ⑧霧が上がった立山
⑨ライチョウ
(オス)
⑩ライチョウ
(メス)
⑪剣岳 ⑫遠くに加賀の白山 ⑬ホテル立山と雄山 ⑭大日岳に落ちる夕陽 ⑮「雪の大谷」 ⑯称名滝の滝つぼ

写真の補足説明:

① 黒部ダムからケーブルとロープウェイを乗り継ぎ、標高2315mの大観峰へ。
②~⑧ 宿舎の「みくりが池温泉」周辺で朝の風景を撮影
⑨⑩ みくりが池周辺のハイマツに住むライチョウ。遊歩道にも平気で出てくる。
⑪~⑬⑮ 室堂から富山側に下るバス道路を歩いて撮影
⑭ みくりが池温泉から大日岳の日没を撮る
⑯ 周辺の雪解け水を集めて落ちる称名滝。落差350mは日本一。