南ドイツ在住の長女を訪ね、どこか行きたいところがあるか聞かれ、「リヒテンシュタイン」と答えた。「何にも無いよ」と念を押されたが、訪問国数のカウント稼ぎが目的で、切手博物館を見てウェブ記事用の写真を撮ればOK。
リヒテンシュタインはスイスとオーストリアに挟まれた人口3万5千の小国で、国土面積も小豆島ほどしかないが、れっきとした独立国で、国連に議席を持つ。国名に「公国」と冠するようにリヒテンシュタイン家が領主で、17世紀末に他家から領地を購入し、神聖ローマ皇帝の認可を得て国の歴史が始まった。1806年に神聖ローマ帝国の崩壊で独立国となり、1815年にドイツ連邦に加わったが、1866年のドイツ連邦解体で再び独立、今日に至る。1921年に憲法を制定して立憲君主制に移行したが、今も領主が強力な政治権力を持ち、「ヨーロッパ最後の絶対君主制」と言われることもある。
南ドイツからリヒテンシュタインに行くには、途中でオーストリアとスイスを夫々10分ほど通過するが、途中に検問所などなく日本の県境通過と同じ。リヒテンシュタインの通貨はスイスフランだが、ユーロが使えるので両替の必要もない。スイス側から橋を渡るとそこがリヒテンシュタインの首都ファドゥーツの中心街だが、通過して丘の中腹の領主の居城まで登ってみる。
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リヒテンシュタインは切手が有名で、小生はこの国が切手発行で食っていると誤解していた。調べてみるとこの国の国民一人あたりGDPは118千ドルで、日本国の約3倍。世界で最も豊かな国の一つなのだ。それが切手発行で支えられる筈もなく、精密機械や建設用機器の世界的企業が本社と工場を持ち、タックスヘイブンの法人税収もあって、国民の直接税はゼロ。何ともうらやましい国なのだが、ビンボー人の移住は厳しく制限され、事実上不可能らしい。
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