バヌアツの学制について,、話を聞く度に頭が混乱する。基本は初等6年間、中等2年間、高等4年(大学進学希望者は+1年)らしいが、英系と仏系では進級課程が異なり、学校によって呼び方も違うようだ。何事も画一的にしないと気がすまない日本の感覚では、理解できないことが多い。

義務教育を中等年まで延長することになり、昨年から校舎や教員の手配が始まったが、村部まで行き着くのは相当先になりそうだ。何しろ政府にお金がないので、義務教育の初等6年でも父兄に月1千円程度の負担をかけざるをえず、子沢山で現金収入の乏しい村部では、子供を小学校さえ出せない家庭も少なくない。未就学でも村で自給自足生活をする上では特に困らないし、教育を受けさせてもそれに見合う仕事がない、という現実もある。

このような環境の中で、高校まで行くには、本人の学力と学費負担能力が整わなければならず、高校進学者は都市部で2割、村部では1割以下に留まっている。特に村を挙げての学費支援と期待感を背負う村部出身の生徒たちは、グレたりシラケたりする余裕はなさそうだ。

フランス政府は、自文化圏維持のために頑張っている面があり、ポートビラに3校ある公立高校の内、仏語系の2校に資金援助をしている。その仏系高校が第二外国語として日本語を採用し、日本の青年協力隊員が日本語の授業を受け持っている。サント島の仏系高校も入れると、現在バヌアツでは400人を超える高校生たちが日本語を習っているのである。町を歩いて日本語の挨拶を受けることが多いのも頷ける。

7月某日、ポートビラの仏系高校で「日本語の日」が開かれ、日本人ボランテイアと生徒との日本語会話演習、バザーや日本文化の紹介に加え、日本流の運動会も行われた。熱帯の早熟な高校生には、ヒゲのオッサンやオバサン太りの始まった生徒もいるが、バヌアツ人特有のシャイな眼差しもすぐにうちとけて、日本人ボランテイアとの楽しい交流行事となった。高校生たちの日本語はたどたどしいが、「第二外国語」どころか、第一外国語も相当にアヤシイ我が身を思えば、彼等の努力と熱意には敬意を表すべきであろう。

この高校(Lycee)では、日本の中学1年生から大学1年生までに相当する年齢層の生徒たちが学んでいる。 体育の授業も男女無差別らしい。
  バザーに集まった生徒達。
茶道実演では和菓子が不思議だったようだ。 浴衣姿も結構似合う。
熱心にメモをとる。 空手クラブのパフォーマンス。
小雨で湿った校庭に座り込んで次の指示を待つ生徒たち。 彼等にとって二人三脚は初体験。先のチームの様子を見てすぐコツをつかむのは、生来の運動能力の高さと共同体訓練の影響だろうか。