前回のタンナ島訪問ではユニウルのカスタムビレッジを訪れたが、今回は更に内陸奥地のヤーケル(Yakel)カスタムビレッジを見ることが出来た。ここも伝統的な生活様式を保存・公開している集落だが、ユニウル村に比較すると更に原始的な雰囲気を留めている。住民は日常的にナンバスと呼ばれる伝統的衣装(男性はペニスカバー、女性は腰蓑)で暮らしている。村に入ってすぐは目のやり場に困るが、純真でくったくのない子供達に取り囲まれてワイワイとやっている内に、ごく短時間で異文化に溶け込めたような気分になるのは不思議である。

例によって、ガジュマルの巨木が見下ろす広場でカスタムダンスを披露してくれた。ユニウルではカラフルな衣装をつけた大勢の村人達によるで華やかなある踊りだったが、この村の裸のままの素朴な踊りは、太古の民を思わせるものがあった。とは言え、町から車で行けば30分ほどの距離であり、彼等も町に出る時は普通の服装に着替えるのだそうである。毎日のように訪れる観光客相手の商売をする中で、このような太古の生活様式がいつまでも守り続けられるとは思えない。子供達の信じられないほどの純朴さも遠からず失われるかもしれない。残念ながらそれも自然の流れと考えるより仕方がないのだろう。

村のたたずまい。 男の子達の一群。割礼の済んだ子はナンバスを着ける。
グアバの実から採った顔料で魔よけの化粧。 左端が村のチーフ(酋長)で、年齢を聞いたら101歳とのことであった。
腰蓑が女性の正装。 巧みにリズムを取りながら柱をたたき、踊りの開始を告げる。
男性が輪の中心で足を踏み鳴らしながら勇壮に踊り、女性はその外側を飛び跳ねながら回る。
踊りは1時間近く続いた。 踊りが終わって村を去る時、女の子達がしばらくトラックを追いかけて別れを惜しんでくれた