バヌアツの人達がどのような職業に就いているのか調べてみました。最新データは1999年の国勢調査資料で少し古いですが、以降の5年間に都市化はある程度進んだものの、顕著な構造的変化はなかったものと考えられます。

1999年の就業構造

 総人口 187,000人 2004年の総人口(推定)は約210,000人
 就労可能人口 (15歳~64歳) 97,642人 全人口に占める比率 52%
 内労働力人口
(経済活動にかかわっている者)
76,161人 就労人口に占める比率 78%
  内農業従事者(自営) 51,028人 経済活動人口に占める比率 67%
  内給与生活者 19,040人      〃       25%
  内、登録事業者に就労している者 14,272人 給与生活者に占める比率 75%

注):

  1. 経済活動にかかわっていない人口には、主婦などの家庭内労働を含むもの思われる。
  2. 登録事業者とは、正式に事業免許を登録をした事業者を言う。免許登録しない所謂ヤミ事業者が相当数存在しているが、これらを摘発する取締りは殆ど行われていないようである。(当国には法人税制がなく、企業活動を監査するシステムもない。本年度から事業免許を付加価値によってランク付けし増収を図っているが、自己申告制ではあまり実効は期待できないのではないかと思われる。)

登録事業者に就労している者の内訳 (合計に若干誤差あり)

業種 就業者数 登録就業者に占める比率(%)
第一次産業(農業、林業、漁業、採掘) 748人 5%
製造業 1,273人 9%
電力・水力関係 156人 1%
建設関係 838人 6%
卸・小売業 2,466人 17%
ホテル・レストラン 1,775人 12%
運輸・通信関係 1,027人 7%
金融・保険関係 455人 3%
その他ビジネスサービス 532人 4%
政府職員 4,475人 31%
その他サービス 571人 5%
合計 14,416人 100%
  1. 製造業の大部分は食品加工業(パン屋、カバ飲料製造など)で、所謂工業製品の製造工場は殆どない。
  2. 運輸・通信関係の大部分は個人タクシー、小型バス運転手である。(当国の主要交通機関であるタクシー、小型バスの殆どは個人営業だが、ヤミ営業も非常に多く、外見では全く区別できない。)
  3. 政府職員が登録就労者の約1/3を占めるが、これには離島の州政府職員等も含まれる。
  4. 業種分類には、恣意的に区分されたものも少なくないと推定され、統計の正確性には限界がある。(事業登録区分の実態から類推)。

下記は日本のデータ(H16年)とバヌアツのデータを乱暴に対比させたもの。

日本のデータ 備考 対バヌアツ倍率
総人口 123,000千人   658倍
15歳以上人口 109,990千人 (64歳以上も含む) 1,126倍
 内労働力人口 66,420千人 15歳以上人口に占める比率 60% 680倍
  内就業者数 63,290千人 労働力人口に占める比率 95% 831倍
   内自営業主 6,560千人 10%
   内雇用者 53,550千人 85% 2,813倍
   内官公 5,680千人 9% 1,269倍
   内農林業 2,640千人 4% 51倍

上記の対比から読めることは

  1. 総人口、労働力人口、就業者の数は日本が概略700倍くらい。(日本の15歳以上人口から64歳以上を引けば、バヌアツの700倍前後になると思うので、この辺の構造はあまり違わないでしょう。)
  2. 雇用者(雑に言えば会社員)は日本が2,800倍で、サラリーマン社会、バヌアツではその分が自営農業者。
  3. バヌアツの公務員は過剰だと思っていたけれど、こうして見ると日本も多いようですね。
  4. 日本の農林業人口がここまで減っているとは! これも不健全な状況と言えそうな気もします。