タンナ島へは首都ポートビラから南に200km、ローカルのプロペラ機で1時間弱の旅である。飛行場を出ると砂ほこりの道路が一本走っているだけで、あたりには人家もない。何故か日本最南端の波照間島を思い起こした。

この島の最大の呼び物はヤスール火山で、「世界で最も火口の近くまで行ける火山」、といううたい文句付きである。薄暮が最も迫力があるというので、ホテルを午後3時に出発。山間のデコボコ道を四駆トラックの荷台に揺られて行く。途中で野生化した馬たちを追いかけたり、コーヒー農場を見学したり(山間のヤブに混じって生えているだけなので、言われなければ農場と気付かない)、徒歩の人達と挨拶を交わしたりしながら、夕暮れ前に島の反対側の登山口にたどり着いた。トラックを降りて火山灰の急斜面を15分程登り、噴火口の縁に立つ。数分の間隔でズンと地響きがして、赤く焼けた溶岩が空中を舞う。カメラアングルを変えて撮りたかったが、数年前に日本人観光客が溶岩に撃たれて亡くなった事故があり、ガイドの規制がなかなか厳しい。足元が見えなくなるまで見物して、地球のエネルギーを堪能した。

翌朝は予定のフライトがキャンセルになり、待ち時間でカスタムビレッジ(伝統的な生活ぶりを見せる観光村)を見学することができた。オーストラリア人を含む8人の客に対し、40人を超える村の老若男女が総出で踊りを披露してくれた。一般的にこういう場所では観光ズレでおざなりな演技になりがちだが、ここの村人達の踊りっぷりは本気であった。チーフ(酋長)のポリシーが余程しっかりしているのだろう。

タンナ島は海がきれいであることは言うまでもない。我々は一泊二日の急ぎ旅だったが、数日かけてゆっくりと過ごせば、この島の本当の良さが分かるのではないかと思う。(タンナ島ではJICA青年協力隊員3名が活動している)

タンナ空港。小さな標識板に「フランス援助で99年開港」と記されていた。 我々が泊まったホワイトグラス・リゾート。バンガロー式だが快適に過ごせる。
リゾートの前は海。 地元の少年達が釣りをしていた。
ヨーロッパの宣教師達が持ち込んだ馬が野生化したという。 火山原からヤスール火山を望む。しきりに噴煙を噴き上げ、この場所にも灰が降ってくる。
数分おきに噴煙を上げる。登山口は山の裏側。 火口縁で噴火を待つ。
火口が二つあるのがわかる。火口底には溶岩がたぎっているのだろうが、この位置からは見えない。 帰り際の一発。思わず「玉屋!」と叫びたくなる
ユニウル・カスタムビレッジのたたずまい。昨年2月のサイクロンで吹き飛んだ家屋もあり、この一軒は傾いたまま。 村人たちの踊りの輪。右足で地響きするほど蹴りながら踊る。
チーフ格の男性と子供。 女性はやはり貫禄がある。
 
タンナ島で一番大きなレナクル集落の青空市場。自給自足の村人ばかりで、いったい誰に売るつもりなのだろう、と思ってしまう。ひょっとすると暇つぶしが「仕事」か